第一章

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 010  我が校は、教育者はかりそめの権力主義をかざすだけで何もしない。  弾圧も、偏見も、私達を怒らせる何もかも。  だから、敵にもならない。  その代わりをになうのが、生徒会だ。  生徒会は、生徒会長の男子を筆頭にどれもこれも堅物ぞろいで、お堅い方向に曲がっている自己主張が大好き。  この前も、生徒会長は校内放送でACIDを侮辱したが。  それ以外にも、  現在は日本文化を代表するようなオタク・カルチャーを豚の産物と言ったり。  バイオレンス表現が多いホラー映画を、品性の欠片もないと言ったことがある。 「私は思うのです。本当の若者のためとは、若者が自分で切り開いていかなければならないと」この前の演説を思い出す。「だから、生徒全員が自ら有害作品を排除しなければならないのです!」  校内放送だけじゃ飽きたらず、朝の集会でもそんなことを言ったっけ。  私は皮肉にも委員会の真面目な活動を評価されて、生徒会のメンバーとは親しいけど、彼らのあの熱は共感できない。  というか、したくない。  011  担任が来たので、私も含めたクラス全員が席にすわる。 「えーとだな……実は、生徒会長なんだが」  と、何故か担任の男性教師は重苦しいオーラを出していた。  どうしたのだろう。 (ねぇ、そういや今日ってさ) (あ、ACIDのあるよね)  女子生徒がおしゃべりしていた。 「聞けよ、人の話」  突如、担任は声を張り上げる。  話をしていた女子生徒二人はビクッと震え、慌てて姿勢を正す。担任は、やりすぎたと思ったのか、少し間をおいてからクチを開いた。 「……生徒会長が死んだ」
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