第二章

6/18
前へ
/43ページ
次へ
 017  昼休み、私はいつもの集団とは別行動を取る。 「え、どうしたんだよ。シキシキ」と佐藤。シキシキ言うな。 「……な、何か悪いことしちゃったかな」と見当違いのことで、気にしすぎな祖父江。 「ちょっと、――ね」と、私は目配せで語る。  それを見て、鈴屋と瀬尾は勘違いしてくれたようだ。 「うん、それじゃアタシ達は食堂にいるね」と鈴屋はみんなの背中を押して連れてこうとする。 「……っ」心配そうに見つめる瀬尾。この子、目はするどいけど根は優しい子だ。 「――さて」みんなには悪いが、騙してしまった。  どうしても、私には解決しなきゃいけない相手がいる。  そのためには、どうしてもこの時間は食堂にいることはできないのだ。 「そこか」  ドアをちょっと開けて、教室にいる私をのぞいていた人物――クルメは気付かれたのを察知すると踵を返して逃走した。  私は、テクテクッと――走りはしないけど、かなり早い歩き速度で彼女を追う。  現在、三階の廊下。  018  クルメ――赤と黒のパーカーのガスマスク。  目立って分かりやすい彼女は、すぐに見つけられた。 「二階か」  どれだけ早い足並みか、二階の廊下を歩いていた。  私はすぐそちらに向かう。  019 「え、一階?」  だが、二階に着くともういなかった。彼女は中庭にいた。  私は一階の中庭に向かう。  020 「――にかい?」  今度は、二階にいた。  私は、中庭から彼女を見上げる。  ニィッ――と、クルメは笑っていた。(片目だけで判断)  あいつめ、と私は二階へ。  021  二階に行くと、また彼女は中庭にもどっていた。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加