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「クルメはね、キミのことが大好きなんだよ? ほら、三度も言っちゃった」
と、クルメは私の首を絞める――いや、弱かった。
簡単に振り払えた。
「あっ」
弱々しくつぶやき、逆にとまどう側になるクルメ。
「………」
私は、頭の中で色々と思考をめぐらす。
どうすればいい?
相手、ガスマスク。よく分からない。ゴスロリ。よく分からない。顔、多分かわいい。それがどうした。小柄。かわいい。それがどうした。ガスマスク……あと多分、狂ってる。
「あのね……私たち女の子同士……は関係ないのね。あなたはそういう次元じゃないものね。いえ、人の好みというか。趣味というか、えーと……生き方は自由だし。私はいいと思うの。でもね……私は、その、あなたと特別な何かになるっていうのは」
「……?」
クルメは首をかしげる。
「溶接しないの?」
するか。
私は彼女と会話している内に、考えていたものが思い浮かんだ。ああ、なんだ。これでいいんだ、と。今私が彼女に言わなきゃいけないのは、これなんだと。
「……ねえ、あなた誰?」
私は、この子とは初対面だ。
「だから、クルメだよぉ」
いや、駄目だ。これを言うにはあまりにも遅すぎた。
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