第1章

10/655
前へ
/655ページ
次へ
 迷った末にユズナはタコの足の串焼きを買うと、 木箱を逆さに置いただけの椅子に腰掛けてかじりついた。  故郷にも同じような料理はあるが、 異国で口にするものは、 やはり違う味がする。 (でも、 美味しいことには変わりがないわね)  とユズナは思った。  騒ぎに気が付いたのは、 シオンの方が先だった。  二人がいる露店から三十ヒロ(約六十メートル)ばかり離れたところで、 悲鳴が上がった。  石畳の上に、 何か大きい、 丸太のようなものが横たわっている。 ただ、 伸びたり縮んだりして動いていることから、 丸太ではなく、 生き物であるようだった。
/655ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加