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蟲は身体をひねって悶えると、
尾でシオンを打とうとする。
「浅い」
そう言うと、
シオンは剣を引き抜き、
ウミワラジの尻尾を刃の峰で受け止めた。
身体が宙に浮き、
そのまま跳ね飛ばされる。
身を突かれた痛みに、
ウミワラジは悶え、
暴れる。
シオンの言葉どおり、
傷は浅く、
ウミワラジの息の根を止めることは出来なかった。
触手の巻き付いた竿が、
ユズナの手からもぎ取られる。
「銛を打て!」
いつの間にか遠巻きに蟲を取り囲んでいた番兵達が、
兵長の号令にしたがって、
柄尻に綱の付いた銛や鋼鉄の鉤を投げる。
しかし、
その攻撃は僅かに期を逸していた。
ウミワラジは無数の節足で覆われた腹を隠すように、
身を起こした。
銛は楊枝のように背中の堅い殻に弾かれる。
それでも二本の鉤が殻の隙間に食い込んだ。
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