第1章

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失われた姫の旅物語  空は蒼く晴れ渡っていた。  海は静かに凪いでいた。  空と海の間に、 大陸の影が浮かんでいた。  白いカモメが翼を広げ、 水面低く飛んでいる。  一隻の船がその後を追うようにして、 波を切っている。  帆柱は三本。 船首側の二本に、 蛇腹に折りたたむことの出来る帆が吊られている。 船尾の帆柱では三角の帆が風を受けていた。  船が向かうその先には、 大陸の玄関口、 タオルンの港が見える。 クナ皇国の東部を占める、 ロントン公国の歴史のある港だ。  船はその長い船旅を、 ひとまず終えようとしていた。  船上では、 船乗り達が入港の支度に追われている。
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