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船は港へ進む。
波頭が崩れ落ちると、
無数の泡が生じた。
波の間に落ちた小さな影に気が付いて、
シオンは空を見上げた。
「あれは……」
「どうかしたの?」
「竜……おそらく、
竜騎兵だ……」
ユズナもまた、
空を見上げた。
ずいぶんと高いところを飛んでいるらしく、
ユズナ達の眼には鳥のように小さく映る。
それでも鳥とは違う、
竜である特徴が見て取れた。
長く伸びた首、
四つ足を備えた強靱な体躯、
首よりも長い尾。
巨大な翼が虚空を切り裂いている。
「あれが……竜騎兵……」
竜を見るのは、
初めてのことだった。
「何処へ行くのかしら……」
陽の光が眩しくて、
ユズナは目を細めた。
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