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「…、…」
そこには穴があった。教室の天井に大きな穴が開いていた。声はそこから聞こえていた。
誰だ!こんなイタズラをしたのは!
心底そう思った。これはもはやイタズラというレベルを超えている。犯罪だ、教室の天井に穴を開けるなど。こんなことをしてしまったら、僕らは授業を受けられないではないか…そのとき、穴からこちらを覗いた顔が一瞬見えた。僕は自身の目を疑った。
そこには校長がいた。なぜだ、もしかしてこの学校は廃校になるのか?最後の思い出づくりに学校をボロボロにしようとかいうめちゃくちゃな企画を校長自身が編み出したということか。あ?明日からどこの学校に通おう。とか考えていたら小さな機械が僕のいる教室に落ちてきた。
床に校長がいた。いや、もう少し丁寧に言うと校長のフォログラムが。
本物の校長ではなかったことに一瞬安心した。しかしすぐ正気に戻った。もし犯人が僕であると思われたら(冤罪だが)僕は退学じゃないか?
逃げろ!僕は最初に入ってきた扉を振り返った。
そこには扉なんて無かった。
う、嘘だろ…?泣きそうになった。このままじゃぼくは退学じゃないか。
そう思って思わず教頭の人形を抱きしめようとした。
そこには教頭の人形は無かった。マネキンも無かった。
何でないんだよ!思わず叫びそうになった。後ろを振り返り、Aのトリックアートを見ようとしたが、それも不可能だった。そこにはAのトリックアートなんて無かった。
フォログラムも無くなっていた。床の文字も無くなっていた。天井の穴もいつの間にか無くなっていた。
その代わり床に穴があいていた。
思わず、下をのぞき込むと、そこには僕がいた。
こ、これはまさか…一瞬前の僕…?なんてことだ、そして僕がここにいるということは、つまりは僕がこの一連の事件の犯人だということじゃないか?
犯人→退学→人生オワタ→チーン
この流れが僕の頭の中で繋がったとき、僕の頭は完全にキレた。ショートした。当たり前だ、人生オワタになりたくない!!!!
「うわあああああぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!」
そこには天井があった。学校の天井ではない。家の天井だ。
夢落ちかよ!
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