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「っ!いきなり本気モードかよ!?」
「....行くぞっ!」
思わず悪態をついたザンネだったが勇者が待つはずも無く身体強化を使い一瞬で五メートルの距離、ザンネの懐まで踏み込み剣を横薙ぎに振るう。
しかし。
《ドゴォォォ!!》
ザンネに剣が当たる直前で見えない壁によりミサイルが直撃したかの様な轟音と共に強制的に剣が止まる。
「!?これが無属性の結界か!!」
「っつ!あぶねぇなぁ!ボケェェ!!」
魔法にも結界は確かに存在するが通常は属性を持つため火の壁だったり水の壁と見た目がある、しかしザンネが使う結界は無属性の結界、つまり魔力が見えない限りは目に見えない。
「お返しだ!受け取れやぁぁ!!」
ザンネは勇者が戸惑った隙を突いて顔面へ右ストレートを放つ。
「っな!?」
勇者は一瞬の判断で左腕で顔を守る様に隠す。
そして衝突。
まず勇者は何かが耳元で爆発したような音を聞いた、その後腕が砕ける音を聞いた気がした。
そしてすぐに勇者から視界、音、感覚が全て無くなった。
勇者が気がつくとザンネは煙草を吹かしながら少年の亡骸の前に佇んでいた。
「悪りぃな、もし最初に来たのが勇者ならお前は人間に戻れたかもな...次に生まれて来る時までには治療法を作っておく。
だから今は安らかに眠れ」
勇者はザンネの言った意味を考え、一つの
考えが浮かぶ。
ザンネがしゃがみ少年の亡骸に触れた瞬間少年は灰となり風に吹かれて散っていく。
「勇者様よぉ...そんな大層な役名にすがりついてたら現実を見れなくなっちまう。
今の世界はお前が思っているより広く冷てぇよ」
「....だが世界は私の様な綺麗事を求めている。私が生きている限りはな」
勇者は創造属性の魔法でグチャグチャになっていた左腕と体全体を”再生”し、だが、と呟きながら立ち上がる。
「私が死ねば世界は自ら暖を求めて立ち上がるのではないか?貴様の様に」
勇者は思った、先程この人相の悪い男が言った言葉は決して人任せでは無かった。
作っておくと、その言葉に責任感と強さを感じた。
「なんだ突然、頭打ったのか?」
真剣に問う勇者にザンネは気持ち悪そうに答える。
「頭どころかもう少し身体強化が弱ければ体がバラバラだったな」
「っは!今ピンピンしてる癖によく言うぜ、やっぱ創造属性ってインチキくせぇ」
しかし勇者は嫌な顔もせずに言い返し、どこかスッキリとした表情で言う。
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