第1歩の前に昔話だってさ

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「私も気付かない間に自分の力を過信し、綺麗事しか見なくなっていたのだろう。 まさか一撃で敗れるとは思ってもいなかった。」 「馬鹿言えよ、一撃で決めなきゃ、創造属性を使われる前に決めなきゃ俺がボコられてたわ!ほんと主人公様達はズルい!」 勇者は薄く笑うと真剣な面持ちで再度ザンネに問いかける。 「世界はまだ自ら立ち上がる力はあると思うか?」 ザンネは新しい煙草に火を付け一口吸って吐き出すと言う。 「世界はあんたが思うより冷たく、広く、何より強いさ」 答えを聞いた勇者は満足そうに頷きその場に大の字に寝転がる。 「前から思っていた、私がいるから何とかしてくれる、その気持ちが人々の立ち上がる力を奪っているのでは?とな」 「だがそれで希望をもち立ち上がった人間がいるのも確かだろ」 「お前も言っただろう?世界は、人々は強いと!ならば私の役目は今日で終わりだよ」 「んな突然部活辞めます!みたいな感じで辞めれんのかよ」 「あっそれなんだが私は死んだ事にしギルドでも作るよ、一からやり直しだな。」 可哀想な子を見る目付きで勇者を眺めるザンネ、そして大の字に寝転がり満足げな笑み浮かべる勇者。 数日後 『緊急ニュースです! あの勇者様が午前未明、目付きの悪い男と食事中突然苦しみ始め「ホウレンソウは力持ち」などと意味の分からない事を呟きながら息を引き取られました。 一緒にいたとても一般人には見えない犯罪者顏の目付きの悪い男によると「彼はさらに力を着けようホウレンソウを食べた、しかしそれはある人物にしか適用されない事実がショックだったんだっ!」等とほざき現在詳しい原因を調査中です!』 勇者死亡 死因 ホウレンソウで力持ちに成れなかった事実に対するショック死。 めでたし、めでたし。
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