鵺森権兵衛の企て

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 この鵺森は、ひょんなことから、様々な能力を授かった。その能力のひとつに、別世界旅行がある。それを生かし、今確認されているパラレルワールド(PW)を7箇所発見した。そして、『世界』としては、8箇所存在することになる。副産物として、この世界のどこがオリジナルであるのかも解明できた。  今、鵺森がいる世界は、第三世界である。オリジナルを第一世界として、三番目に誕生した世界と言う意味で、安直にネーミングした。それぞれの世界に住む子供たちの中で、鵺森と波長の合うもの1名ずつを選抜した。鵺森はその世界に飛び、彼らのDNAを採取し、クローンを生成した。生成後は、生かすことなく保存した。生かしてしまうと、別の魂が定着してしまう。鵺森が持つ能力のひとつ、魂魄転送術を用い、それぞれの世界の子供たちの意識を、12時間おきに切り替えるように設定した。一番初めに、オリジナルから魂魄を飛ばした時に、クローンが誕生するよう、慎重に作業を行った。一度定着すると、そこから魂が抜けても、再び戻ってくるようになる。魂が抜けた身体は、生命に問題はない。抜けたままでも、栄養さえ与えれば、生きていけるのだ。しかし、そのような不幸は許されない。5Sを重んじ、入念に作業を行った。  ちなみに5Sとは、 『清潔』『清掃』『整理』『整頓』『しつけ』である。  これになんの意味があるのかよくわからないが、実験は着々と進んだ。そして苦労の甲斐あって、8人の子供たちを、鵺森が作ったPWパラダイスに、住まわせることを無事、成功させたのだった。  PWの生成方法を知る鵺森は、彼オリジナルの方法で、PWを生成することに成功したのだ。彼の実験方法は間違っていなかったのだが、しかし、何もない世界が出来上がってしまった。しかし、失敗は成功の父兄参観。異次元の子供たち8人だけの世界になる、と失敗を喜んだ。  しかし、子供たち8人だけだと、生活に困ることが多々ある。よって、鵺森が信頼する甥の佐伯祐馬と、その幼なじみの六甲菖蒲のDNAから、クローンを生成、誕生させた。このふたりを、子供たちには『お世話ロボット』として説明し、共同生活をさせることにしたのである。
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