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!!!
教室の窓が
目に入った瞬間
今まで忘れていた記憶が
一気に
フラッシュバックした。
サイゴに
覚えている景色は
窓から見下ろした
広いグラウンド。
窓枠の上に乗っている
自分の
両足。
そして
窓につかまっている
震える自分の両手。
そして…
「…きゃあぁぁあ!」
足を
踏み外して
落ちていく景色…
!
「わ、たし…」
カラカラになったノドから
ようやく声を絞り出した。
「わたし
死んだの…?」
死神さんは
うん、とも
ちがう、とも
答えなかった。
言ってはいけない
決まりなのかもしれない。
ただ切なそうな顔を
私に向けるだけだった。
「…野上ってのは」
少しの沈黙の後
死神さんが
口を開いた。
「同じクラスの、ヤツか?」
優しい顔で
そう聞いた。
「…うん。同じクラス、で、隣の席のコ…。」
自分が死んだっていうのに
私の気持ちは
妙に落ち着いていた。
野上の顔した死神さんが
側に
いてくれてるからかもしれない。
「…好きだった?ソイツのこと…。」
!
死神さんには
お見通しらしい。
「うん。好き、だった…。」
野上じゃないって分かってても
外見は野上そのもので
まるで本人に告白してるみたいな気分になって
妙に
照れくさい。
「そっか…」
死神さんは
少し考えてから
こんなことを
教えてくれた。
「死神はさ、実体がないんだよ。
だから、その人が最期に強く想った人間に、見える。」
!
それって…
「お前はきっと
『野上』のことを強く想っていたんだろうな。」
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