第1章

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「『ちび』ってのもやめてよね!私、ちびじゃなくて知美(ともみ)だってば! 変な呼び方、しないで!じゃなきゃ、降りない!」 恐怖心から なぜかちょっと強気になって 普段は言わないようなことも言ってみる。 「…ハハッ。わ~かったよ、気に入ってたんだけどな~ちび。呼びやすいし。 ホラ、ゆっくり、気をつけて降りろよ?」 「うん…」 ゆっくり足を下ろそうと 恐る恐る 自分の足元に視線をやってみると… 「!」 た、かい… …こわい!! 思わぬ高さに 恐怖で視界が歪んだ。 と、同時に ! 「…きゃあぁぁあ!」 景色が 高速で流れていく。 足をすべらせた私は そのまま 地面に…! ! 「の…がみ…」 「え?」 うめくようにつぶやく私に 死神さんが 怪訝そうな顔を向けた。 「野上!野上は、無事だったの!?」 思わず死神さんに 掴みかかる。 「ちょ、落ちつけよ。」 「野上も一緒にいたの!わたし、わたしが足すべらせて落ちちゃった時…。 野上はちゃんと、教室に降りたんだよね?飛び降りたりしてないよね!?」 最初に教室に入っていった時 私が来なかったら 野上はそのまま飛び降りてたんじゃないか?て なぜかそう思ってた。 私がいなくなった後 野上がその続きを 一人で遂行した、なんてことは…? 「自殺なんて…してない、よね…?」 目に涙をいっぱいにためて 詰め寄る私を かわいそうに思ったのか 死神さんは 重い口を開くと こう教えてくれた。 「野上は…自殺なんて、してないよ。」 ! 「よかっ…たぁ…!」 それだけで じゅうぶんだ。
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