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「『ちび』ってのもやめてよね!私、ちびじゃなくて知美(ともみ)だってば!
変な呼び方、しないで!じゃなきゃ、降りない!」
恐怖心から
なぜかちょっと強気になって
普段は言わないようなことも言ってみる。
「…ハハッ。わ~かったよ、気に入ってたんだけどな~ちび。呼びやすいし。
ホラ、ゆっくり、気をつけて降りろよ?」
「うん…」
ゆっくり足を下ろそうと
恐る恐る
自分の足元に視線をやってみると…
「!」
た、かい…
…こわい!!
思わぬ高さに
恐怖で視界が歪んだ。
と、同時に
!
「…きゃあぁぁあ!」
景色が
高速で流れていく。
足をすべらせた私は
そのまま
地面に…!
!
「の…がみ…」
「え?」
うめくようにつぶやく私に
死神さんが
怪訝そうな顔を向けた。
「野上!野上は、無事だったの!?」
思わず死神さんに
掴みかかる。
「ちょ、落ちつけよ。」
「野上も一緒にいたの!わたし、わたしが足すべらせて落ちちゃった時…。
野上はちゃんと、教室に降りたんだよね?飛び降りたりしてないよね!?」
最初に教室に入っていった時
私が来なかったら
野上はそのまま飛び降りてたんじゃないか?て
なぜかそう思ってた。
私がいなくなった後
野上がその続きを
一人で遂行した、なんてことは…?
「自殺なんて…してない、よね…?」
目に涙をいっぱいにためて
詰め寄る私を
かわいそうに思ったのか
死神さんは
重い口を開くと
こう教えてくれた。
「野上は…自殺なんて、してないよ。」
!
「よかっ…たぁ…!」
それだけで
じゅうぶんだ。
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