第1章

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私は野上に 今まで さんざん助けてもらった。 クラスでハブにされた時も 飼っていた犬が車にはねられ 自分を責めていた時も バイト中に 酔っ払いのおじさんに迫られた時も なぜか野上は いつもタイミングよく現れて 私の事を助けてくれた。 私なんかに何ができるか分からないけど 私も野上の 力になりたかった。 野上の瞳を曇らせている原因があるのなら 厚かましいかもしれないけど それから私が、守りたかったの。 「ありがとう、死神さん…。野上がちゃんと元気でいてくれてるなら、思い残すことはないよ。 お父さんやお母さんはきっと、悲しむだろうけど…。私、空から見守ることにする!」 死んだら空の上にいけるのかなんて分からないけど 私は自分を慰めるためにも、死神さんにそう言った。 「…ありがとう。」 「え?」 お礼を言われた意味が分からず 私は思わず 死神さんをガン見した。 「なに、が…?」 「…ハハッ。」 死神さんが顔をくしゃくしゃにして 嬉しそうに笑った。 そして ふわっ… 少しその場で浮きながら 私にこう言った。 「…大丈夫。お前は死んでなんかいないよ。」 「え…?」 「死んだのは… オレの方。」 !?
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