第1章

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1000枚を超えたあたりから 猛スピードで過ぎていく景色に 目が追いつかなくなって 少し酔ってきてしまった。 オレはペースを落として 競歩くらいの速さで教室を通過していくことにした。 1万枚あたりからは 数がよく分からなくなってきたので 数えるのを止めた。 1000万枚開けなきゃいけないんだ。 数えようが数えまいが その事実は変わらない。 無駄なことは極力避けよう。 そう思ったのだ。 しかし しばらくたってからオレは 数えるのを止めたことを 後悔した。 いったい今 何万枚目の扉なのだろう? 1000万枚まで あと何枚開ければいいのだろう? 数が分からなくなった以上 やみくもに進み続けるしかない。 とりあえずそこからもう一度 数えることを始めてはみたが やはり 1万枚までいったあたりで ワケがわからなくなって 止めてしまう。 そんなことを何度か繰り返しているうちに ある時 突然 オレの心は壊れてしまった。 「…フッ。フハッ!アハハハハハハハハハハハハハ!!!」 笑いが止まらない。 周りから見たら 完全に タダの変態だろう。 しかし今のオレには 見てくれる「周り」の人間が いないのだ。 いっそ 冷ややかな視線で 蔑まれたいくらいだ。 「ハハハハハハハハ!ハハ…ハ、グスッ…」 なぜか 涙まで出てきた。 もうダメだ。 もうオレは ダメかもしれない。 一体 どれだけの時間が立った? オレは今 どの地点にいるんだ?? お腹は減らない。 体力も減らない。 でも 気付いてしまった。 心が 減っていく。 終わりのない扉のループに オレの精神は 崩壊寸前だった。 なぜ あんな簡単に 「ゲーム」を引き受けてしまったのだろう? もう 後悔しかなかった。
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