第1章

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一通り 泣き喚いてみると 少し気分が落ち着いて また進もうという気になった。 オレは立ち上がると 次の扉に手をかけ 叩きつけるように 激しく開いた。 よし! まだいける!! そこからまた ただひたすらに扉を開け続け 時々立ち止まって 泣き喚いては また進んだ。 進むことに嫌気がさしたオレは 一度 逆走なんてこともしてみた。 今入ってきた扉をもう一度開けて さっきまでいた教室に戻ったのだ。 このまま逆走し続けたら もしかしたら 最初の教室に戻るんじゃないか? そんな淡い期待が 頭をかすめたのだ。 最初の教室に戻れば 「アイツ」がいるかもしれない。 もしいれば あの「ゲーム」を なかったことにしてもらえないだろうか―――? しかし 逆走していくうちに オレの頭は冷静さを取り戻していった。 そうだ。 「アイツ」は言っていた。 「ここからスタートして、1000万個目の教室がゴールです。逆走はお勧めしません。時間の無駄ですから。」 オレの足は 30個ほど逆走したその教室で ピタリと止まった。 なぜ あそこまでハッキリ言われておきながら オレは逆走してるんだ? 戻った分だけ また余分に進まなきゃいけないのに。 それって ただの無駄足じゃないのか? そもそも 1つ目の教室に入った後に オレは確認したじゃないか。 「アイツ」がいたはずの教室の扉を もう一度開けてみて 「アイツ」の姿が もうそこにはなかったことを この目で確認したはずだ。 今戻ったって 「アイツ」がいるわけない。 心は完全に壊れていたが どこかでそう冷静に判断している自分がいた。
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