第1章

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高校三年間、もしかしたら今までの人生の中で、その日はいつもの平日とは違い、物凄く寝起きが良かった。 体感的にはかなり寝てしまったのではないかと思い時計を見ると、睡眠時間は七時間程度であり、現時刻はまだ朝の五時だった。これはだいぶ早い。おじいちゃんみたいだ。 今日、僕は早い時間にもかかわらず寝起きがかなり良いので、今日は何かいいことがあるかもしれないとバカバカしく思いつつも、内心では恥ずかしながら、少しワクワクしていた。まだまだ子供だ。 まあ早いからといって二度寝をすると間違いなく遅刻してしまうと思ったので、すぐベッドから降り、昔から着ている青の水玉パジャマ姿のまま、扉を開けてリビングに出た。 しかし、家は静かで誰もいなかった。父さんは会社だけど、母さんは?と思ったが、そういえば昨日父さんを駅まで送るから早くに出かけるとかなんとか言っていたような気がする。たぶんそうだ。 とはいっても、まだ五時だというのに大変だなぁと心の中で思いつつ、まだ僕が家を出る時間まで二時間ほどあったため、テレビでも見るかと思い高みの気分だと言わんばかりの態度でリモコンの電源ボタンを押した。 すると、某朝の有名番組が始まっていたが、僕がテレビをつけた時にはすでに番組の終わりに差し掛かっていた。 そこで、少しおかしいなと疑問に思い、テレビの左上に表示されている時間を確認してみると、そこには八時三〇分とあった。 「はああああああ!??!??」 時間を確認したと同時、家中に響き渡るほどの大声をほぼ反射的に叫んでしまっていた。 いやいやいやいやいや、とかなり焦り、すぐさまに自分の部屋に置いてある目覚まし時計の時間を確認するべく、猛ダッシュで部屋へ戻ったが、これは誰がどう見ても五時キッカリだった。 しかし、目覚まし時計の違和感を感じて見つめると、動いているはずの秒針が微動だにしていなかった。 「これって……つまりは電池切れってことか?」 僕は自然と自問自答のような独り言をボソッと吐き出していた。 自分で発言した瞬間に嫌な汗が大量に噴き出した。 「てか、八時三〇分ってことはつまりもう、1時間目始まってるじゃねーか!!」 これはやばいだろうとかなり焦ってしまったが、実のところ僕自身は遅刻ということに関して常日頃から送っていたりする。
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