次の席は

教室の戸を開けたら、そこには
いつも一人、席に座っている生徒がいる。

（……今日は、あの席か……）

窓際から２列目、前から３番目。
机に突っ伏す彼女については、
見覚えがないから他クラスだろう、
ということしか解らなかった。

肩より少し長いくらいの髪は、
恐ろしいほど綺麗だった。

たいてい学校が開いてすぐ登校するが、
いつ見ても彼女は必ず先にいる。
そして、自分の教室でもないのに、
誰かの席に座っているのだ。

しかも、座っている席はいつも違う。

生徒番号順に変わるわけでも、
端から順々に変わるわけでもない。

席順の脈絡はおろか、
何をしているのか、何がしたいのか、
全く掴めなかった。