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「ひろこはね…札付きの…と言うよりも、劣悪な女なのよ…学歴も職歴も…何から何までウソをつきとおしていたのよ…北杜市の市役所でたかゆきと職場恋愛をしたことも何もかも大ウソなのよ…アタシね…ひろこがどんだけ劣悪な女なのか知っているの…」
「つばきちゃん…つばきちゃんは、ひろこがどんだけ劣悪な女であるのか…何か知っていることがあるの?」
「あるわよ…」
つばきちゃんは、缶ビールをゴクゴクと一気にのみほして、大きく息をした後におかわりの缶ビールを手にとって、ふたを空けながらアタシにこう言ったのでありました。
「ひろこ…出身地は静岡だけどね…実家の家族は…義理の両親ときょうだいなのよ…ひろこは…ホンマのオカンに捨てられていたの…」
「本当のお母さんに捨てられた?」
「そうよ…」
つばきちゃんは、缶ビールをひとくちのんでからアタシにこう言ったのでありました。
「ひろこの実のオカンはね…敷島通りのキャバの女だったのよ…」
「敷島通り…敷島通りって…」
「新居浜…四国の新居浜よ。」
「四国って…ひろこは、四国の生まれだったと言うこと?」
「うん。」
「ひろこの実のお父さんは?」
「ひろこのオトンは…ろくでなし…と言うよりも、劣悪な男なのよ…ひろこのオトンは…やくざの事務所に出入りを繰り返していたのよ…借金をして、バクチばかりをして…遠方へ逃げて行方不明になっていると思うわよ…」
つばきちゃんは、亀田の柿の種を右手でわしづかみをしまして、口にほおばってモグモグと食べて、缶ビールをゴクゴクとのんでから、ひろこのことをアタシに話したのでありました。
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