第5章  雪どけ  

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 オレは決断した。 一時間ほど、 美波の仕事を見てやって、 遅めに退社した。 それから、 直接カオリのマンションへ向かった。  マンションに着いたのは、 9時少し前だった。 これでいいんだ。 確かに勇気がいる。 こんな夜分に訪ねる事が非常識だということはわかっている。 カオリはドアを開けてくれないかも知れない。 それならそれで諦めよう。 それがカオリの答えなのだから。  エレベーターに乗って、 カオリの部屋の階で降りる。 廊下を歩いて、 部屋の前に立った。 心臓が高鳴るのはどうしようもない。 インターフォンを押す指が震えた。 「はい、 どちらさまでしょうか?」
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