笑顔と涙

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 何時の間に、眠りに付いたのか、携帯のアラーム音で、目が覚めた――。  目を擦りながら、大きなあくびと共に、起き上がり、窓辺のカーテンを開け、外の天気を伺う。  喜ばしい太陽の陽射しが、雲一つ無い青空から降り注ぎ、朝の暖かな一日の始まりを、優しく迎え入れてくれた。  三人の待ち合わせ時間は、10時!  向かうには、まだまだ早い8時の為に、私は昨夜の内に準備した鞄の写真を確認――。  携帯も一緒に入れて窓も開け、どれ位の間だろうか――。  暫く窓辺に肘を付き、掌に顎をのせて、外の空気に黄昏て居た。  「桜ー御飯よー!」  「あ、はーい!今行くー」  家の一日は、母さんの食事の一声で始まり、共に最後を締めるのも、母さんの一言で終わる。  暫くのつもりが、掛け時計の針は、既に9時を指して居た。  慌てふためき、私は走って食卓へ向かい、定番のトーストとホットミルクを前に座った。  「おはよ!休みなのに随分、早起きねー!何、慌ててるの?」  「んっ!ごちそうさまぁー」  毎朝、交わす、おはよう!の一言を交わす暇無く、私は母さんの質問に一言だけ、  「ちょっと、出掛けるから、後でねー!」  その言葉も、洗面台へバタバタと走って向かいながら、投げやりに応えて居た。
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