第1章 あの空の向こうに

2/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
それは本当に不思議で、 なんだか心が洗われるような感覚だった。 暑い夏の日、 私は大学受験勉強に追われ、ぼうっとする頭で この公園の大きな木の陰に向かった。 いつも通学途中、 いつかはあの木陰に入ってみたいなと思っていた。 それで無意識下に足が向かったのかもしれない。 嫌な勉強も、親も、全部投げ出したくて、 何もかも投げ出したくて、 気付いたらあの木の下だった。 樹を背に、上を見上げると 視界の下半分に青空が広がった。 雲が少しずつ点在し、その向こうの空は抜けるように碧い。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!