第1章 あの空の向こうに

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その抜けるような空を見上げた瞬間、 自分が鳥になった様に空に近づいた。 先程まで視界の上半分は木の陰だったのに、 視界の全てが青だった。 雲ひとつなく、それが本当に空なのかも分からず、 私はあっけに取られる。 間もなくして、 今度は引き寄せられるように山が出現し、 私はその稜線ギリギリをすごい速さで超えた。 超えた先に広がるのは 黄金色の麦が地平線まで茂った大地。 地平線には山一つなく、 黄金色と蒼色が大地と空を分ける。 爽やかに吹きつける風が麦を波立たせ、 それはまるで大海原だった。
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