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……なにも云わなくてもきっと、
あいつはずっと私の傍にいてくれる。
そんなふうに思ってた。
なんて愚かな考えだったんだろうと思う。
何度もちゃんと、
自分の気持ちを伝える機会はあったというのに。
同じ高校に進むことを決めたときも、
高校で同じクラスになったときも。
あいつは
「おまえとの腐れ縁、いつまで続くんだろうな」
って笑ってた。
嬉しかった癖に素直になれない私は、
「あんたとの縁なんて、
さっさと切ってしまいたい」
とか憎まれ口を叩いて。
……あいつが傷ついた顔してるの、
気付かないふりをした。
こんな私だから。
あいつは愛想を尽かして、
可愛い彼女を見つけたのだろう。
……ひねくれてる私と違って、素直な子を。
あーあ。
もうあいつに絡むこと、できないなー。
あいつから世話を焼いてもらうことも。
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