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「ぴよ丸、コケ子、チッチキ、おいでー」
三羽の鶏は何事もなかったかのように小山先生の肩と頭に乗りました。
「えっ!?」
「すんません、苦手って知らなくて。うちの鶏なんです」
「・・・・・・」
「長井先生、水風船みたいだったから」
「・・・・・・」
「触れたら泣き出しそうだったから」
ぴよ丸でしょうか、小山先生の耳の穴をつついています。
「長井先生、隙がなくて。ちょっと話したいのになぁと、ずっと思ってて、それで・・・こら!耳はだめだ!」
そのときまた風がビュンと吹き、三羽の鶏ははばたいて飛ぼうとしました。小山先生の肩と髪の毛を掴んだまま。
「俺はイカロスじゃねえぞー!やめれー」
気づくと私は声を上げて笑っていました。
「小山先生、飛んでっちゃえ~!私、戻りますね」
「あ、ちょっとまってちょっとまって」
小山先生はTシャツをめくり、裏地を見せました
『一羽目』
「おなか見せたりすると人によってはセクハラって言われますから、気をつけてくださいね」
私はこみ上げる笑いを押し殺しながら、階段を下りました。
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