第1章  訓練開始

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   最初はルイさん守る為って思ってた。 でも、日々の訓練の疲れや覚える事に 忘れてた・・・  隣をチラッと見ると、ライがうつむき 唇を噛み、何かに耐えているように体を 震わせている。こんなライは、あの雪の 時以来だ・・・ 「明日からの訓練もこの有様なら、バック アップ担当になる事になる。これはお前達に、 他の仲間を殺させない為だ。今日1日よく 考えるんだな」  その言葉を最後に隊員は2人の前から 離れていく。うつむく2人、そして、 ふっと気が付く、懐かしい森の香り、 守りたいあの人の笑顔・・・  リクとライは、言葉を交わすことなく 黙々と食事をし、体の汚れを落とし 部屋に戻った。今までの事、これから の事、隊員のあの一言、胸をえぐられる ほどの、自分に対しての嫌悪感・・・    明日隊員の人に謝ろう。  そんな結論が出たのは、夜更けだった。  次の日、訓練前の鍛錬を始めたリクは、 走ってくるライに気が付いた。  「おはよう!」  元気な声がする、あちらも、ふっきれた みたいだ、クマをつくっているが、表情は 晴れやかだ。  最近では、6kmを走り、300回の腹筋と 腕立て伏せなど、最初の3倍のメニューを 軽くこなせるようになった。
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