第1章

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店先に立つ寺の坊主らしき人物は、 「では」と言って中に入ってくる。 レジゴンの両親が立ち上がると、 手で「まあまあ座って」と二人をなだめた。 その後のやりとりから、 坊主らしき人がレジゴンとブルの菩提寺の住職だということを知った。 黒い袈裟をピシッとまとう住職は、 それからこう続ける。 「お二人の希望通り、 相手方の素性は、 それぞれ私の中だけにとどめることとする。 だが、 必然的にこれから先、 双子の身に起こることは一切、 二人の耳には入らないということでもある。 私が死んだら、 尚のこと。 罪深きことではあるが、 これからを生きてゆく、 それもまた大切なことである。 誰かが死ぬということではないぞ、 今回は」。 住職が運転する後部座席には、 レジゴンの親父と母ちゃんが乗っている。 夫婦して乳呑み児であろう双子を抱えながら。 中学3年のころは、 途轍もなく長がった落合橋も、 車だったらそんなことはないのだろう。
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