恋心

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自分でやるなんてイタイ奴だと思われたかもしれないけれど、説明するためにくしゃくしゃすると、晴希さんはまたおかしそうに笑った。 「お前、おもしれえな」 そう言いながらくしゃくしゃと撫でてくる。 晴希さんの顔をちらりと見上げながらくしゃくしゃされているけれど。 「……」 おかしい! これはおかしい! だってどきどきしないんだもん! 晴希さんに最初に声をかけられたとき、心臓がどきんっと大きく反応したのに。 だからくしゃくしゃされたらどきどきすると思っていたのに。 「これでいい?」 「え? あ、はい。ありがとうございます」 結局晴希さんにはどきどきしないことが判明して、もしかしたらあたしは凪さんのことが好きなのかもしれないという気持ちだけが心に残ってしまった。
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