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◇
「一緒に帰ろうか」
「え」
「あと一時間ほどで終わるから待っててくれる?」
凪さんはそう言ってくれたけれど。
「いいです。歩いて帰るので」
あたしの返答に吃驚したのか凪さんは瞳を大きく見開く。
「ぱらぱらと雪が降り始めてるよ」
「大丈夫です。凪さんちはここから近いから」
凪さんはきっとわざわざ『FLOWER RAIN』に近い場所にアパートを借りたんだと思う。
職場に近い方が楽だしね。
「あと一時間待てない?」
「え」
「それとも、俺と帰るのがそんなに嫌?」
「え!」
あまりにも的はずれなことを言うから、思わず凪さんの顔を見上げた。
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