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「本当に、何もなかったんだからね」
「……ん」
「信じて、ほしかった」
「……ごめん。俺、あんときすっげーカッとなってて」
「うん」
あたしが話しているのに聞く耳持たずに疑っていたもんね。
「あたしはあのときに、冷めちゃったんだ」
仁への好きって気持ちはあったけれど、信じてもらえなかったという事実があたしの心の温度を少し下げてしまった。
「もう、前のようには戻れない」
「……」
「ごめんね」
あたしがそう言うと、仁は掌で目の辺りを覆いながら小さく息を吐いた。
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