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「兄貴、なのか？」
けれど黙り込んでしまったあたしを見て、仁はそう感じたらしく。
「……」
でもここで頷けない。
顔を伏せたまま口を閉ざしていると、仁は小さく息を吐いたあとあたしの髪をくしゃくしゃと撫でてきた。
「俺、責めてねーよ」
「え」
「もし彩葉が兄貴のことを好きになったとしても、俺、責めたりしねーよ」
予想外の仁の態度に視線を上げると、仁はやさしく微笑んでいて。
「こうやって俺がまた彩葉と向き合えるようになったのは、彩葉に逃げる場所を作ってくれた兄貴のお陰だから」
「え」
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