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「たぶんさ、兄貴がいなかったら俺、彩葉をあり得ねーほどに酷く傷つけることになってたと思うんだ」
「……」
これはきっと仁が無理矢理あたしを抱こうとしたときのことを言っているんだよね。
「あんときは本当に止めてくれてよかったと思ってる。怒りのままに抱いたってお互い傷つくだけだしな」
「……」
「まあでも、兄貴は優しいからなー」
「え」
「はは、悔しいから言うわけじゃねーけど、兄貴は誰にでも優しいんだよ。特別な女以外にも」
「……」
それには気づいていた。
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