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教室の戸を開けたら、そこには一冊のエロ本があった。
窓際の僕の席に、それは忘れ去られた教科書のように置かれていた。
教室には僕以外に誰もいない。廊下にも人気はない。朝が早いからだ。僕は野球部の朝練のために、荷物を起きに来たのだった。
僕は机の傍らに立ち、エロ本をしばらく観察した。
ピンクの表紙に、扇情的なポーズの女性。表紙はモロではなかったが、本全体から漂う雰囲気は明らかにエロだった。
念のため断っておきたい。僕のものではない。
では、誰のものか? わからない。わかっていたらこんなに困らない。
悩んだ末、僕は恐る恐るエロ本に手を伸ばした。
見たかったわけではない。いや、一切合切見たくなかったわけでもない。僕だって一端の男子高校生なのだから、まったくの初心というわけでもないのだ。
しかしながら、普段見るエロ本よりも刺激的に見えるのはなぜだろう?
教室という真面目な空間がエロを日頃よりも卑猥に感じさせるのだろうか。
とりあえず早急にどうにかしなければならない。誰かが登校してきて、僕が学校に持ち込んだと勘違いされたり、触れ回されたりしたら面倒だ。
僕はエロ本をパラパラとめくった。持ち主の名前が書いてあるとまでは思わなかったが、ヒントくらいは得られるかもしれないと思ったのだ。
「おおっ!」
思わず素直に声が出た。表紙から想像していたものよりも、三倍くらいは濃厚で過激だった。
「……これはとんでもないな。こんなの持ってきていることがバレたら、高校卒業するまでエロ魔神扱いされかねないぞ。いや、10年後の同窓会でもネタにされるレベルだ」
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