訪い

9/68
前へ
/897ページ
次へ
 田嶋が書いた小説の登場人物とは言え、江名はヴァンパイア。  人間よりも、筋力は強力。 「御免なさい、は?」 「ご……、ごべんなざい……」  首が絞まっては、まともに発音しろと言うのは無理。 「よろしい」 「あ~~、死ぬかと思った……」  じゃれていると言うには、どうにも剣呑。 「他に、何か無いの?」 「音楽? それとも、他の動画?」  田嶋の場合、気に入った音楽や動画は観るが他の物は興味が湧かない限りは覗かない。 「色々」 「色々、ねえ……?」  幾ら田嶋の創ったキャラだとて、趣味嗜好は変わっている可能性は在る。  どう言うのが観たいのか、聞きたいのか。  それを知らねば、話にならない。  こんなのはと色々な動画を観せながら、果てはyoutubeを飛び出してニコ動も観せる。  おおよその趣味嗜好を把握した辺りで、間も無く夜の11時。  田嶋は寝るくらいの時間。  電気を消すよと江名が言い、田嶋は押し入れに潜り込んだ。          二 「昨夜の火事、田嶋様の家の近くだったらしいですね」  クラゲの王様が、議題として口を開く。 「らしいですね。どうでしょう、これを期に防犯アドバイスの会社を立ち上げては。田嶋さんの知識は、役に立つと思いますし」
/897ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加