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「yasuさん、それは、暫く控えた方が良いかと。最低でも一日は。昨夜の火事で、恐らく警察が聴き込みしてるでしょうし」
不審火、放火となると警察も捜査をするのは当たり前。
「では、明後日か明明後日くらいにしましょう」
その方が良いと、全員一致で決まる。
物は序でと、銀兜を捜す事にして。
三
マナーモードのスマホが田嶋を起こす。
「あ~~、今日と明日と休みか。ど……? 重いな」
田嶋は猫好きだが、現状の住居は安アパート。
飼う事は勿論、室内に入る事もしていない。
それに、この重さは猫一匹や二匹とも違う。
半分寝ている頭を無理矢理起こすと、原因が判明。
ヨーロピアンな鎧を纏った女性が、上に乗っていた。
よく窒息しなかったと安堵も束の間、心当たりの無い田嶋は首を捻る。
「おい、邪魔だ」
邪魔だと言おうと、動かない。
息遣いは判るから、恐らくは生きては居る。
「ん……」
漸く起きたらしく、半目で片目を擦った。
「久し振りだな、田嶋。逢いたかったぞ」
さても積極的に抱き付く様な女性は、田嶋の知り合いには雪枝くらいしか居ない。
「取り敢えずは、退け。重くて敵わん」
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