訪い

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「ほぼボランティアの民間消防隊だな。法律だと、火事ん時は一時的に総務省指揮下の公務員扱い。入団してると、こうした火事ん時には必ず呼び出される。確か消防法だかで、入団してたら火事の消火が最優先になった筈」  徳川幕府の八代目、中興の祖と言われる吉宗公の頃に設立された町火消しは。  現代でも消防団として存続している。 「町火消しみたいだね」 「まんま町火消しよ。定火消しや大名火消しが、消防署だな」  ペヤングとコンビニ弁当を腹に収め、田嶋はインスタントコーヒーを入れた。 「あ」 「派手だなあ。この燃え方、壁材とか燃え易い材料で建てたな」  現在の建築基準では、難燃性の建築材を使う事と震度7に耐えられる耐震基準が定められている。 「ん~~? 消えないねえ?」 「建物が火事ん時ゃ、なかなか消えねえよ。一軒家だけだって、大体3時間から6時間は見ねえとな。鎮火しても、火元の消防団は徹夜で焼けた家を見張んなきゃならねえしな」  消防署と近隣の消防団は、鎮火して2時間も経てば撤収がデフォ。 「それにしても……」 「じゃ、水が無えんだろ。消火栓や防火水槽か無えと、水が確保出来ねえしな」
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