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教室の戸を開けたら、
そこには
私の机が
なくなっていた。
「あゆちゃん…」
心配そうに、友人のチエが駆け寄ってきた。
「机…どっか、散歩行っちゃったみたいね。」
冗談ぽく言いながら
チエに笑顔を向ける。
「あゆちゃん、一緒に探しに行こう?」
優しいチエ。
いつも私のことを
1番に考えてくれる。
「ありがとう」
机はすぐに見つかった。
学校のゴミ捨て場に捨てられていたのだ。
女子2人の力で
運べない重さではなかったが
「男手にやってもらったほうがいいでしょ」と
チエがダイキに連絡して
呼び出してくれた。
ダイキは
最近できたチエのカレシで
イケメンで
優しくて
みんなの人気者だった。
ダイキは血相を変えて
私たちのところに飛んできた。
「あゆ、大丈夫か?」
真っ先に
私の心配をしてくれた。
誰にでも
分け隔てなく優しい。
本当にいいヤツなんだ、ダイキは。
「うん、大丈夫!何とも思ってないよー、こんなの。」
ニッコリ笑ってみせる。
「そ、か…。とりあえず机、教室に運ぶな。」
「ありがとう」
ダイキに机を運んでもらいながら
「…あゆちゃん、大丈夫?」
チエが心配そうに
ダイキと同じ質問をしてきた。
「大丈夫だよ、チエ。私には、私のこと分かってくれてる友達がいるんだから。こんなの、何でもないよ。」
ウソじゃない。
強がりでもない。
私には
チエがいる。
それだけで
じゅうぶんだ。
「あゆちゃん…!
うん、大丈夫。私はずっと、あゆちゃんの味方だからね!」
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