第1章

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次の日。 教室の戸を開けたら、 そこには また 私の机が なくなっていた。 今日は チエもまだ来ていない。 クラスメイトたちの好奇の目にため息を一つついて ゴミ捨て場に行こうと 階段を降りる。 そこにちょうど チエとダイキが現れた。 「あゆちゃん、おはよー」 くったくのない顔で笑うチエ。 「おはよー…」 私の様子がおかしいのに 2人ともすぐに気づいた。 「…あゆ、どーした?」 ダイキが怪訝そうに聞いてきた。 「うん、ちょっと…。また、私の机、家出しちゃったみたいで。」 冗談めかして言ったのに チエの顔色がみるみる変わっていく。 「あゆちゃん…!」 今にも泣き出しそうなチエの頭を ダイキがゆっくり撫でながら 「あゆ、オレらも行くよ。」 2人が ゴミ捨て場までついてきてくれた。 「許せない…。誰が、こんなこと…!」 チエが目にいっぱい涙をためながら言った。 「チエ、大丈夫だから。心配しないで。こんなこと、ずっと続くとは思えないもの。犯人もそのうち飽きるでしょ。」 つとめて明るく言う私に 「あゆ、なんかあったら、ちゃんとオレらのこと頼ってくれよ?」 ダイキが心配そうに 言ってくれる。 「うん、大丈夫。ありがとう!」 結局この日も ダイキが机を教室まで運んでくれた。
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