第1章

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放課後。 「ねーあゆちゃん、本当にいいの?ダイキにも来てもらわなくって。」 チエが「男の子もいた方がいいんじゃないか」と ダイキに頼もうと提案してくれたが 私は頑なに断っていた。 「本当にこれは私の問題だから。できるだけ誰も巻き込みたくないの。 本当は1人でやろうと思ってたし…。」 「それはダメ!私は絶対ついてくからね!」 チエが意気込んでそう言った。 「でも私たちが今からやろうとしてること話したら、ダイキはきっと自分も参加するって言うと思んだよね。 チエ、なんかうまいことダイキに言い訳できる?」 「それなら任せて!」 「チエ、嘘つけなさそうだけど…w大丈夫?」 「ちょっとー!バカにしないでよ!大丈夫だってば!」 「何が大丈夫なの?」 ! タイミングよく ダイキがチエを迎えに来た。 「…あ!ダイキ!早かった、ね?」 「そうか?いつも、こんなもんだろ?」 不思議そうな顔のダイキ。 「あ、あの、せっかく迎えに来てくれたんだけど、ごめん! 今日はちょっと、あゆちゃんと女子会しようって話してて…」 「…そっか。うん、じゃあ先帰ってるな!たまには女の子同士で美味しいもんでも食べておいで。」 「う、うん!ありがと!」 ダイキは特に言及することもなく 教室を出て行った。 チエのウソに気づかなかったわけではないだろう。 でも、チエがウソをつくってことは、きっとチエにとって大切な何かがあるんだろうと、気を利かせてくれたのかもしれない。 本当にダイキは優しい。 17時。 部活のある学生意外は だいたい帰宅して 教室には 私とチエ以外は誰もいなくなった。 「ね、あゆちゃん。どこ隠れよっか?」 チエが小声で聞いてきた。 「そうだね~…」 相談の末 私たちは隣の教室に 身を潜めることにした。 教卓やロッカーの案も出たが ちょっとした息遣いや物音で犯人に気づかれる可能性があるし 机みたいな大きなもの運び出そうと思ったら 隣の教室からでも入口さえ見張っておけば、気づけるはずだ。 「犯人、現れるかなー?なんかちょっと、ドキドキしちゃうねw」 「ほんとwドラマのヒロインにでもなった気分www」 結局 下校時刻の19時になっても 犯人は現れなかった。
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