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「おかしくなった学校で、君は僕のところくらいしか休まるところはない?」
「教室はあんなだし…。でも、クマはいい奴かな。」
「クマ?」
「ピンクのクマです。毛が長くてふわふわの。」
「それは、おかしくなる前からいた?」
「いました。…いや、いなかった?」
クマは私の隣の席に座っている。いつもふわふわ笑っていて、よくお昼を一緒に食べる。でもクマなんていたはずがない。教室には人間しかいなかった。ある日突然、それこそ一週間前に突然クマが隣の席にいた。でも私はそれに違和感は覚えなかった。クマは昔から私の隣にいた気がする。ピンクのクマは…ええと…。
「クマには相談しなかったの?」
「ほんの少しだけ話したけれど、クマだから。あんまりわかってもらえなかったです。それに教室でそんなことばかり話していたらまた注目されるじゃないですか。」
「そんなことって?」
「この学校がおかしいことです。」
「また、注目されるって、すでに注目されているの?君の何に?」
「足です。」
足。私の足。呪いを受けている足。どうして呪われているのだろう。どうして注目されているんだろう。この足に何かあるのか?心当たりがない。頭がまた痛くなる。
「辛いね。」
先輩は台の上に乗って私を見下ろす。うんうん、と大げさに頷いて見せる。そして、暖かな微笑みを浮かべた。私は先輩の笑顔が好きだ。なんだか自分が大丈夫なような気がしてくるし、安心するような、不思議な微笑み。
「でも僕は、君のことを知っているからね。見守ってるよ、中庭から。」
「ありがとうございます。」
先輩が私の味方をしてくれるから、何とか私は正常でいられる。
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