第1章

3/7
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
どうやら私は プールに落とされたらしい。 目と手の自由が利かないので しばらく水の中で右往左往していたが なんとかプールの底を見つけ そこに足をしっかりつけて プールの中に立った。 「きゃははははは!」 クラスメイトたちの 楽しそうな声が聞こえる。 「もー!ビックリしたよー! なに、なに?今流行りのプールサイドパーティーってヤツ? こんなに手の込んだことしなくていいのにー!」 まぁ私の誕生日だからって 気合い入っちゃうのは分かるけどね。 ただ、今までクラスで誕生日祝いしてもらえていない人がいたとしたら、 あまりに不憫だもの。 「…はぁ!?何言ってんの、アイツ!?」 「気持ちわりー。行こうぜ!」 クラスメイトたちの気配が消えていく。 「あ、ねぇ、ちょっとー! 目隠しとってよー!」 確かに私は 目隠しでもしていないと このキュート過ぎるつぶらな瞳で あらゆる男性を虜にしかねない。 それを 懸念しているんだろうか? …にしても これじゃせっかくのパーティーが 楽しめないなぁ…。 手のテーピングを 水でふやかして何とかとって 目隠しを外すことができた。 しかし、もう プールには誰もいない。 「なぁにー? …あ!分かった。かくれんぼでしょう? パーティーの準備ができた部屋で、皆隠れて待ってるのね? じゃぁ、探すわよ~…」 それから2時間ほど 教室や体育館、図書室など しらみつぶしに探したが、 みんなが隠れている部屋が 見つけられなかった。 「もー。難しすぎるよー! …あ!ごめんだけど、タイムアップ。 私この後、デートなんだよね。 お祝いは、また改めてねー!」 みんなに聞こえるように大きな声で叫んで 私は学校を出た。 どこかで、私が見つけるのをワクワクしながら待っているみんなには申し訳ないけど、 誕生日だもの。 彼氏サービスしなくっちゃ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!