第1章

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一度家に帰って身なりを整えていると 母親が買い物から帰って来た。 「あら、ヨリコ。帰ってたの?おかえりー。」 汚いダミ声とともに現れた母は 横にぶくぶくと大きい体に 吹き出物だらけの顔。 目は開いているのか分からないくらい小さくて 重力を無視して上を向きっぱなしの鼻。 髪の毛はぎしぎしで 雨の日はわかめのように増殖する。 …醜い。 こんな醜い母から なぜ自分のような美しい子供が生まれたのか 本当に、不思議だ。 「わたし、今からデートだから。いってきます。」 そっけなくそれだけ言い残して 私は彼との待ち合わせ場所へ向かった。 待ち合わせは、19時。 少し、早く着きすぎたかな…? 18時半を指している腕時計を確認しながら 改札の前でそわそわとしている自分は 「恋する乙女」そのもので 自分ですら可愛いと思ってしまう。 こういう人目につく場所にいると 周りの女どもの羨望の眼差しと あわよくば声をかけたいという男たちの欲望の視線が 痛い。 変なヤツにナンパされちゃう前に 早く、彼が来てくれないかな~…。
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