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一度家に帰って身なりを整えていると
母親が買い物から帰って来た。
「あら、ヨリコ。帰ってたの?おかえりー。」
汚いダミ声とともに現れた母は
横にぶくぶくと大きい体に
吹き出物だらけの顔。
目は開いているのか分からないくらい小さくて
重力を無視して上を向きっぱなしの鼻。
髪の毛はぎしぎしで
雨の日はわかめのように増殖する。
…醜い。
こんな醜い母から
なぜ自分のような美しい子供が生まれたのか
本当に、不思議だ。
「わたし、今からデートだから。いってきます。」
そっけなくそれだけ言い残して
私は彼との待ち合わせ場所へ向かった。
待ち合わせは、19時。
少し、早く着きすぎたかな…?
18時半を指している腕時計を確認しながら
改札の前でそわそわとしている自分は
「恋する乙女」そのもので
自分ですら可愛いと思ってしまう。
こういう人目につく場所にいると
周りの女どもの羨望の眼差しと
あわよくば声をかけたいという男たちの欲望の視線が
痛い。
変なヤツにナンパされちゃう前に
早く、彼が来てくれないかな~…。
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