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「ううん、知らない」
私がこう言えば、今井さんは吹き出す寸前。
「ちょ、ちょっと。瀬戸さん意地悪過ぎません?」
「あははっ、ごめんごめん。あまりに食いつきがイイから面白くって」
全てに全力投球の彼女を弄るのは楽しい。
真っ直ぐ前を向いていて、誰に対してもフレンドリーで。
誰からも好かれる彼女を羨ましく思う。
午後もいつも通りに時間が進み、気づけば終業時間。
基本的に残業は少ないし、ムカつく上司もいない。
「瀬戸さん、今夜一緒に飲みに行きませんか?」
「ゴメン。今日は実家に顔出さなきゃいけないんだ」
そんな言い訳で今井さんからのお誘いを断り、私は一人暮らしを始めて5年になるアパートに帰った。
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