××までの距離【本編完結】

日常

部屋へ帰れば段ボール箱が私を迎える。

引っ越しは週末、いよいよ自分の城を持つ事になったんだもん。

『男に頼らず生きていく』

そう決心したのは24歳の時。
あれから5年、コツコツと貯めた給料は、新築マンションの頭金になった。
勤続10年という看板は35年ローンを組むには完璧だった。

駅から5分という好立地。
10階建マンションの10階、そして角部屋の3LDK。

一人で住むには広すぎる。
でも、あの部屋からの眺めに心奪われてしまったんだもん。

5年住んだこの部屋は想い出がそれなりに詰まっている。
でも、全てを捨てて新たな気持ちで三十路を迎えるんだ。