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誰も見てはいないだろうけれど、なんだか結構恥ずかしいことしたと思う。
私は上げた拳を下げて、赤くなった顔に手をあてる。少しだけ頬が熱い。
「とりあえず、あと二つ魔法が使えるようにならないとね。今日はもう寝て、明日頑張ろう」
私は真下に見える自分の家を目指して、降下する。
目覚めは最悪だった。
魔法が使えること以外はいたって普通の女の子だと思っている私に対して、私の妹は何を求めているのか。まぁ、見れば分かるが。
「おーい、朝だよー。起きなさーい」
私はぐっすり眠っている妹を揺すって起こそうとする。けれど中々起きてくれない。
「ねーいい加減暑いから離れてよ」
「あと、あと五分だけ……」
「もう起きないと学校遅刻するよ」
「むにゃむにゃ、お姉様のおっぱい柔らかい」
「どこ触ってるのよ!!」
私はすかさず妹から離れる。
まったく油断も隙もあったもんじゃない。
「あー、私のオアシスがー」
「うるさい! 胸ならお姉ちゃんの方が大きいでしょ! そっち行きなさいよ!」
「分かってないなーお姉様は。おっぱいは大きければ良いわけじゃないんですよ。形やサイズ、触ったときの感触、おっぱいを構成する要素全てが完璧ではないと、それはいいおっぱいとは言えないのですよ。燐姉のは確かに大きいけれど、何かが違うのです。それに比べてお姉様のは私のこの小さな手にぴったりフィットするのです!」
「どうでもいいわ!」
「それにほら、私巨乳より貧乳のほうが好きですし」
「本当にどうでもいいよ!」
「でも困ったことに私、最近おっぱいが成長してきているんですよね」
と言って自分の胸を触る妹。それは見ただけで私のより大きいことが分かった。
「どうせ私は小さいですよ!」
私は胸を隠すように腕を組むと、足早に部屋を出る。
「ああー、待ってお姉様ー」
まったく、朝から不愉快だ。
「で、妹よ。魔法試験で披露する魔法はもう決まってるのかい?」
お姉ちゃんは私より一足先に朝食を食べていた。寝癖ひどい。
「お姉ちゃん、そのまま出かけないでね。ちゃんと髪の毛整えてから行ってね」
「分かってるよ、いつものことさ」
お姉ちゃんは手で髪をとく仕草だけする。本当に分かってるのか怪しい。
お姉ちゃんの寝癖は一旦置いといて、今考えないといけない問題は、明日に迫った魔法少女認定試験で披露する魔法だ。
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