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(……糸?)
教室の中をヒキで見ると、空の床(床の空?)に細くて透明な糸が張り巡らされている。
目を凝らさなければ分からないソレは、張り巡らされているといっても、蜘蛛の巣ほど繊細に詰まっていなかった。むしろガバガバで、体育祭の障害物競走で使われる網より編み目がでかかった。
だけどオレ以外のクラスの人間は、
その糸の上を歩いている。
細い糸の上を、糸を見ずに歩いている。
(この糸の上を、歩けばいいのか……?)
試しにそろりと足を載せてみた。
綱渡りのように弛んだ感触はなく、いつも歩いている床の感覚だった。
けれど視覚効果のせいで、どうしても恐る恐るといった足どりになってしまう。
それを見た友達が、「何やってんだよー」とからかってきた。返事はできなかった。
やっとの思いで席に到着した。
椅子を引いて、腰を下ろす。
机の上に鞄を置く。
少し軋んだ音がしたけど、それはいつものことで安定感は抜群だった。
だけどやっぱり、宙に浮いていた。オレの目にはそう映っていた。
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