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蒼い光の正体は、その池から湧くように現れる鬼火だった。
変な池だ、すずはそう思った。上に遮るものがないのに、空に見える月が水面(ミナモ)に映っていなかったからだ。
鬼火を生み出すその池自体は暗く、しかし奇妙なほどに美しい、藍色の水を湛えていた。そして、そこから生み出される鬼火もまた、妖しく美しかった。しかし、すずの求めるような柔らかさや温かさはそこにはなかった。
――なぁんだ、これはあたしの欲しい灯りじゃなかったや。
ぷいとそっぽを向いて別な方へ行こうとした時、池から声がした。
「おい」
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