About

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誰に何を思われたって構わない。 そう思うところもあれば、少しくらい自分を認めてもらいたいところもある。 繰り返す平凡な毎日に飽き飽きしている。 大声で叫び出したくなるときがある。 つまらない、ストレスばかりの日常。 誰にも目を留められることもない容姿でもないらしく、たまに俺みたいなろくでもない奴につきあってと言ってくれる女もいる。 軽いノリなら軽く返す。 お試しで1週間だけなら。 でも今、俺に告白してくれているのは、真っ赤になって緊張しまくった様子の本気と思われるもの。 長い黒髪の綺麗な目のぱっちりした女の子。 かなりまともそう。 いや、真面目というのか? 「ずっと…かっこいいなって見ていて…。あの、だから、その……つ、つきあって…ほしいんです」 消え入りそうな声で必死に言ってくれる。 そういう場面でもないが。 その頬を平手で叩いてみたくなる。 そんな俺はたぶん、見た目だけで判断しきれない変わった人間なんだろう。 常識的なものはこれでも持っているから、実際にやったりはしないけど。 「ごめん」 一言告げた。 お試しも言ってやらない。 相手が本気だから。 これでも気を遣ってやってると思われたい。 「…ご、ごめんなさい…。呼び止めて、すみませんでした…」 なんて言葉をおいて、その女の子は走って逃げていった。 よくやるよなとその後ろ姿を見送る。 泣かせたような気もするが、これでいいと思う。 俺は変わってる。 たぶん、きっと。 よく言われるから、そうなんだろうと自分を理解してもいる。 だから狂ってるとは思わない。 呼び止められて立ち止まっていた場所から俺も歩き出す。 たまにはああいう本気で俺につきあってなんて願う奴を、ぼっろぼろに虐めてしまいたくなる。 殴る蹴るのが好きなわけでもないし、ナイフでざくざくに切り刻んでみるのもいいかもしれない。 あの髪を坊主くらいまで切ってしまうとか。 目玉にナイフを突き立てるとか。 ただのストレス発散。 実際にやったら犯罪だ。 猟奇殺人を犯すのは、俺みたいな人種だろう。
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