Dolly

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誰でもいい。 俺じゃなくてもいい。 俺がいいと言わせたい。 恋愛感情になられるのは迷惑なんだろ? 自分に問いかけても、なつかれているだけじゃ満たされないものがある。 俺を求められたい。 殺してくれそうな相手に見られているのに、そんなのあるはずがない。 俺に傷ついて泣いて欲しい。 体じゃなく。 心を傷つけたい。 求めているそれって、俺があいつを好きってことじゃないだろうか? どんなカタチにせよ、童貞の相手であって、あいつとしかしていないからかもしれない。 ただ束縛したいだけなのかもしれない。 俺はアカネのことをよく知らない。 午前で講義は終わって、まっすぐに家に帰ると、アカネは洗濯して乾燥できた洗濯物をなおしているところだった。 「あれ?早くない?」 「今日は午前だけ。就活するつもりもないから来年も学校通うし、詰めてない。洗濯物、もう終わった?」 「うん。これ、要のクローゼットに入れたら終わり」 綺麗に畳んでくれている。 アカネはもう慣れたように、俺の使っている部屋のクローゼットに服を入れて、扉を閉める。 俺は車の鍵を手にして、学校の鞄を置く。 「買い物いくぞ」 「あたしも?」 「連れていくって言っただろ」 アカネの手首、紐がついているほうのリストバンドをはずしてやろうとしたら嫌がった。 「これ、はずしたらダメっ」 「はずさないで紐引きずっていくのかよ?」 「これつける?これ」 アカネはアカネの部屋から犬のリードを持ってくる。 本当に散歩にしやがる。 「そんなのつけている女と歩きたくないっ」 「車でいくなら車で待ってる。あたしもイケメンと歩きたくない」 イラッとするのは俺のせいじゃないと思う。 俺と歩きたくないって、そういうものに俺が傷つけられている気がする。 無理矢理、リストバンドをはずして、アカネを連れ出す。 着替えているから、リストバンドは自分ではずしているはずだ。 なのに俺にはずされることを嫌がるのは意味不明。 繋がれていたいって思うなら、もっと聞き分けよくいてもらいたいところ。
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