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晴れ着姿を乱しておきながら、俺がその着付けなんてできるはずもなく。
親の前に戻ったときには、茜は髪も乱れて、着物も乱れていて。
俺も茜も何も言わなくても、何をしていたと、まさか…と予想されるようなものになっていた。
俺は親の前では優等生ぶっている。
ほとんど親と会話しようともせず、言われたとおりにしてやってるだけだけど。
茜はどうやら反抗しまくり。
家を飛び出して、親の知らないところで数年暮らして、本気で飢えてやっと戻ったというものだったようだ。
よって、俺が襲ったのに、茜が自分の親に疑いの目を向けられることになった。
俺はまだまだ納得しきれてもいないが、茜を久しぶりに虐めることができて満たされていて。
これから先も探すまでもなく、茜が家出さえしなければ連絡とれるようなところにいることに煩っていた心も軽くなっていて。
俺にはめずらしいくらいの笑顔だったかと思われる。
小平茜として出会っていたなら、親に伝わりそうで互いに遠慮したかもしれない。
俺は親に茜を気に入ったと告げて、その情報を聞き出してみる。
そもそもこの婚約はいったいなんなのかというものも含めて聞いてみた。
それさえも興味なかった。
荻田も建設会社だが小平も建設会社。
どちらかといえば荻田のほうが大きい。
吸収合併ではなく、互いの利益を同等にもった合併のための人質として一人娘と一人息子が差し出されたといったところ。
どちらかといえば、茜のほうが差し出されて、俺の親が俺の意思も関係なく、勝手に受け入れようとしていたということ。
茜に関しての話は嘘だろと思うような話で。
茜は24の俺より3つ年上。
大学を出て家事手伝いをしながら花嫁修行のおとなしいお嬢様。
親、絶対、向こうに騙されてるだろと思う。
まず年齢が納得できない。
あれはどう考えてもまだ19くらいの俺より年下にしか思えない。
本当に浮浪者やっていたようだし、花嫁修行なんてしているはずがない。
大学を出たとも信じがたい。
家が貧乏で…といっていた茜に俺が騙されただけかもしれないが。
どっちにしても茜については更にわからなくなるばかり。
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